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〒662-0973
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脂質異常と耳鼻咽喉科疾患
高脂血症とは文字通り血液中のコレステロールなどが高値であることをいいますが 脂質異常(高脂血症)とは、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が多すぎたりHDLコレステロールが少なくなる病気です。脂質異常を放っておくと、血管の動脈硬化が少しずつ進んでゆき、心筋梗塞や脳卒中にになります。脂質異常によって発生する可能性がある疾患は、中枢性めまい、突発性難聴、騒音性難聴で、脂質異常を引き起こす病気は睡眠時無呼吸症候群と甲状腺機能異常(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進)です。脂質異常が耳鼻咽喉科疾患と関係が深いって意外でしょう?
脂質(中性脂肪、コレステロール)は体内では中性脂肪を多く含んだカイロミクロン、VLDL, コレステロールを多く含み血管壁などに沈着するLDL(悪玉コレステロール), 血管壁からコレステロールを抜き取るHDL(善玉コレステロール)などのリポ蛋白という殻に包まれて存在します。
過食などでインスリン抵抗性(これ以上脂肪組織に脂肪を溜め込めない状態)が発生すると中性脂肪を多く含んだVLDLが増え、CETPという酵素によってVLDL中のトリグリセライドとLDL中のコレステロールの交換が起こります。その結果増えたLDLコレステロールの一部は通常より小さくsmall dense LDL(s-dLDL)tといわれ酸化され易く(酸化LDL) 血管壁に沈着しやすくなります。この際HDLも小型化しHDLは減少します。この結果動脈硬化が進行し様々な耳鼻咽喉科疾患が発生します。
今述べた脂質異常が原因となって発生した突発性難聴では脂質異常を是正することにより、突発性難聴の改善も報告されています。
騒音性難聴は脂質異常があると起こりやすいといわれています。 中枢性めまい(小脳梗塞などでおこります)も高齢の患者様で高血圧、脂質異常などがあれば発生しやすくなります。肥満も同様の脂質異常が発生しますが、肥満に関係深い睡眠時無呼吸症候群単独でも上記の脂質異常が発生します。
甲状腺機能低下症でも脂質異常が発生し、この際には甲状腺ホルモンの投与から治療を始めます。直ぐには抗高脂血症の内服は始めません。脂質異常は頚動脈硬化、椎骨動脈血流障害を引き起こしますので上記の疾患が起こったときには必ず頚動脈、椎骨動脈の超音波検査を行います。超音波で血管の異常が見つかれば脂質異常があるかどうか血液検査を行っております。また高度の動脈硬化は心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の原因にもなりますので必ず内科にも相談します。
最近いびきと眠気を覚え来院。3年前から糖尿病にて近医で内服治療。糖尿病も落ち着いていました。その後、高脂血症を検診にて指摘され治療。 当院へ家族に鼾がうるさいといわれ受診。初診時、問診上心血管系の症状は無く安静時心電図も正常でした。BMIも24.1で舌骨―下顎骨下縁間距離を測定し中等度以上のOSAS思われました。 視診触診後、頚動脈エコーを試行。症例写真 頚動脈粥状動脈硬化著しいIMTの肥厚とプラークを認め高度の頚動脈硬化を認めたため、簡易睡眠検査のオーダーと同時に兵庫医大循環器紹介。運動負荷心電図にてⅡ、Ⅲ、aVf, V4-V6にてST低下を認め無症候性心筋虚血疑いにて冠動脈造影検査。右冠動脈99%、左冠動脈回旋枝完全閉塞が認められ危険な為直ぐに心臓ステント治療が行われました。 現在心臓血管の再狭窄を認めず毎月一回睡眠時無呼吸症候群の治療ために受診していただいています。 本症例では高脂血症、中等度以上のOSAS、頚動脈の高度なプラークの存在があれば、心血管系の異常を訴えなくても心血管障害が少なからず存在することを小生に示してくれた貴重な症例であった。 |
(写真:頚動脈粥状動脈硬化) |
兵庫県西宮市田中町3丁目1 エイヴィスプラザ2F